どこにも無駄がなく、潔いまでにシンプルな美を追求したデスク。肌触りのいいアルダーの無垢材を使い、子どもが舐めても害のない植物性のオイルで仕上げています。製作するのは、福岡県で100年以上も木の家具をつくり続ける工場です。引き出しの内部には、贅沢にも国産のヒノキを使用。木材の仕入れからこだわり、きちんと管理が行き届いた山からのみ直接買い付けています。手入れのいい山で、光をたっぷり浴びて育ったヒノキは香りもよく、その香りを生かすためにあえて仕上げを無塗装に。側板に金属製のレールではなく、「吊り桟」と呼ばれる細い角材が取り付けられ、引き出し側面に掘り出した溝と擦れ合うたびにヒノキのいい香りが室内に広がります。直線的でシャープなデザインですが、近くで見るとすべての角が面取りされていることに気づきます。どんなに機械が発達しても、この研磨は絶対に手仕事でしかできないそう。ベテランの職人が経験と手の感覚だけを頼りに行う、難しい技術。使う人を想う、つくり手のやさしさがじんわりと伝わってくる一品です。