シャープなラインで構成された細身のフォルムに、デザイナーのこだわりと技術が詰め込まれた軽量のダイニングチェア。厳しい寒さに耐え抜いた北海道産タモ材の美しい木目と、華奢な見た目からは意外なほどの安定感ある座り心地が魅力の一脚です。
接合部に段差のないフラットな構造は、釘やネジを使わない木組の伝統技術によるもの。背もたれと脚の接合部を見ると、後脚の上部が欠きとられ、そこにぴったりと笠木が収まっています。通常は直角に加工するこの仕口部分の凹凸に傾斜をつけることで、蟻組(ありぐみ)のような構造に。一度組むと外れない強固な接合とフラットな表面を実現しました。座面部も同様で、体に触れる部分に違和感がなくストレスフリーな座り心地となっています。
背もたれと座面には成形合板を使用。成形合板とは、薄くスライスした板を重ねて接着し、熱を加えることで思い通りの曲面に加工する技術です。バウムクーヘンのような積層断面もデザイン性が高く、イームズやアアルトなど偉大なデザイナーが成形合板を使った数々の名作チェアを生み出しました。自由な曲面の表現に加え、強さと安定性の高さも特徴。スライスした板の繊維方向を一枚ずつ90度交差させて接着することで木の収縮膨張を防ぎ、反りが防止できるのだとか。さらに接着により強度が高まるため、わずか9ミリ厚の座面で強度試験をしっかりクリアしています。
京都でオリジナル家具のデザイン製作を手がける夫妻と、北海道・旭川で50年にわたり家具製作を営むメーカーとのコラボレーションで生まれたこちらの椅子。ナチュラル・ブラック・グレーの3色からセレクト可能です。