2024.12.19
オーク材やナラ材に現れる虎模様の杢目の正体とは?
天然木のテーブルや椅子に木目を横切るように虎の縞模様のような杢目が入っているのを見たことありませんか?
これは「虎斑(とらふ)」というオーク材やナラ材などブナ科の木材に見られる特徴的な木目模様(キャラクターマーク)で、「シルバーグレイン(silver grain)」とも呼ばれます。
この模様は木材の中で特定の条件下で形成される放射組織によるもので、虎の縞模様に似ていることから「虎斑」と呼ばれたり、光沢があり、光の当たり方次第で銀色に輝いて見えるため、「シルバーグレイン(銀杢)」と呼ばれたりします。
なぜ虎斑模様が現れるのか?
虎斑模様は、木材の「放射組織」と呼ばれる細胞の配置によって生じます。放射組織は、木材の樹皮から中心部に向かって放射状に広がる組織層で、主に水分や養分を運ぶ役割を担っています。この放射組織が広く、目立つ場合に虎斑模様が現れるというわけです。 特にオーク材やナラ材などブナ科の木材は放射組織が大きく発達しており、それが木材を切削する方向に応じて際立つ模様として現れます。具体的には、木材を「板目」ではなく「柾目」に切断すると、放射組織が断面に平行に現れ、特徴的な虎斑模様が強調されます。また放射組織は木が成長のための栄養分を蓄えていた部分とも言えますので、他の箇所よりも養分が豊富で、摩擦にも強いなど、良い部材であるとされています。
虎斑が現れる木材の種類
虎斑模様はブナ科の木材によく見られますが、特に以下の木材で顕著です。
・オーク(ナラ)・・・特にヨーロピアンオークやホワイトオークは、美しい虎斑模様が現れることで知られています。
・ブナ(ビーチ)・・・虎斑模様はやや控えめですが、細かい放射組織が見られることがあります。
・樫・・・堅木の一種で、虎斑が目立つことがあります。
虎斑に魅せられたフランク・ロイド・ライト
虎斑模様は、木材の美的価値を高める要素でもあります。そのユニークな模様は木材の個性や質感を際立たせる装飾的な効果もあり、家具や建築などにおいて高く評価されてきました。近代建築の巨匠フランク・ロイド・ライトなどは、この「虎斑」に魅せられて、多くの作品でオーク材を用いたとも言われるほどです。
現代においても、虎斑模様は「自然素材の美しさ」を象徴するものとして高く評価されています。持続可能な素材として木材の価値が見直される中で、自然が生み出す芸術とも言える虎斑模様は木材の魅力を最大限に引き出すデザイン要素として、これからも注目されていくでしょう。もしご自宅のテーブルや椅子に虎斑模様を見つけたら、長い時間かけて大自然の中で育まれてきた天然素材の歴史に思いを馳せてみて下さい。
※「自然が生み出す天然木ならではの杢目(キャラクターマーク)について」はこちら
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