2025.12.13
節のある家具のメリットとデメリット|後悔しないために知っておきたい基礎知識


無垢材家具を検討していると、必ず目にする「節(ふし)」の存在。木の表情として魅力的に感じる人がいる一方で、「品質的に問題はないのか」「長く使えるのか」と不安を覚える人も少なくありません。
節のある家具は、いまや“廉価品”の代名詞ではなく、素材の個性を楽しむ上質な選択肢として注目されています。しかし、その魅力を正しく理解するためには、メリットだけでなくデメリットにもきちんと目を向ける必要があります。
こちらの記事では、節のある家具の特徴を整理しながら、どんな人に向いているのか、どんな点に注意すべきかを詳しく解説していきたいと思います。
そもそも「節」とは何か
節とは、木が成長する過程で枝が幹から伸びていた部分の名残です。枝が自然に枯れ落ちたり、伐採された後も、その痕跡は木材内部に残り、年輪とは異なる複雑な木目として現れます。
節には主に以下のような種類があります。
・生き節:木が成長している間に形成され、周囲としっかり結合している節
・死に節:成長途中で枯れた枝の跡。周囲との結合が弱く、欠けやすい
・抜け節:加工後に節が抜け落ち、穴状になったもの
家具用材として使われる場合、多くは構造上問題のない節を選別した上で使用されますが、見た目や性質は一様ではありません。

節のある家具のメリット
1.一点ものの表情を楽しめる
節の最大の魅力は、二つとして同じものが存在しないことです。同じ樹種、同じサイズの家具であっても、節の位置・大きさ・形状はすべて異なります。均質で整った木目にはない、偶然性や自然のリズムが宿り、空間に奥行きと温かみをもたらします。工業製品では得られない“個性”を求める人にとって、節は欠点ではなく魅力そのものとも言えます。
2.木が生きてきた時間を感じられる
節は、木が風雪に耐え、枝を伸ばしながら成長してきた「時間の痕跡」です。年輪と節が交差する部分には、樹木の生命力や環境との関わりが刻まれています。節のある家具を使うことは、単に“木の道具”を持つのではなく、自然の歴史を暮らしの中に迎え入れることとも言えるでしょう。
3.空間に柔らかさと親しみを生む
節のある木材は、表情が豊かでどこか素朴な印象を与えます。そのため、過度に緊張感のある空間になりにくく、家族が集まるダイニングやリビングによく馴染みます。特に近年は、北欧・和モダン・ナチュラルインテリアとの相性の良さから、あえて節のある天板を選ぶケースも増えています。
4.資源を無駄にしない選択
節の多い材は、かつては「家具に向かない」とされ、構造材や下級用途に回されることもありました。しかし、節を個性として活かすことで、より多くの木材を有効活用できるようになります。これは、森林資源を循環させ、持続可能なものづくりにつながる考え方でもあります。環境意識の高い人にとって、節のある家具は価値観を反映した選択肢と言えるでしょう。
節のある家具のデメリット
1.見た目の好みが分かれる
節は強い個性を持つため、好みがはっきり分かれる要素でもあります。「味わい深い」と感じる人もいれば、「雑然として見える」「傷のように感じる」という人もいます。特に、ホテルライクな空間や極端にミニマルなインテリアでは、節が主張しすぎると感じる場合があります。
2.節周りの質感差
節部分は、周囲の木質と比べて硬さや導管の向きが異なるため、
・触ったときにわずかな凹凸を感じる
・経年変化で色の濃淡が強調される
といった現象が起こることがあります。
丁寧に仕上げられた家具であれば問題ありませんが、均一な質感を求める人には違和感になる可能性があります。
3.稀にメンテナンスが必要になる場合も
死に節や抜け節を含む場合、長年の使用で節が緩んだり、隙間が目立つことがあります。多くの家具メーカーや工房では、樹脂充填や埋め木などで補強を施しますが、経年で表情が変わる可能性はゼロではありません。ただし、これは欠陥というより「無垢材特有の変化」であり、適切なメンテナンスで十分対応可能なケースがほとんどです。
節のある家具が向いている人・向いていない人
向いている人
・木の個性や自然な表情を楽しみたい
・経年変化を「味」として受け入れられる
・長く使いながら愛着を深めたい
・空間に温かみや物語性を加えたい
向いていない人
・完全に均質で整った見た目を求める
・変化の少ない素材が好み
・傷や色ムラに敏感
まとめ:節は「欠点」ではなく、選択肢のひとつ
節のある家具は、万人向けではありません。しかし、それは欠点があるからではなく、価値観によって評価が分かれる素材だからです。均一さや完璧さを求めるなら節の少ない材が適していますし、自然の揺らぎや時間の積み重ねを楽しみたいなら、節はかけがえのない魅力になります。
大切なのは、「節がある・ない」ではなく、その表情を自分の暮らしに迎え入れたいかどうか。
家具は、毎日触れ、長い時間を共にする存在です。だからこそ、素材の個性を理解した上で、自分にとって心地よい一台を選ぶことが、後悔しない家具選びにつながるのではないでしょうか。
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