2025.12.21
家具の材料に使われる針葉樹と広葉樹の違い|特徴・用途・選び方を解説


家具に使われる木材は、大きく「針葉樹」と「広葉樹」に分けられます。
一見すると単なる樹種の違いのようですが、この分類は木の硬さ、重さ、木目、耐久性、そして家具としての使われ方に大きく関わっています。
無垢材家具を長く愛用したい人は、デザインや価格だけでなく、「この家具はなぜこの木で作られているのか」を知ることも大切。こちらの記事では、家具材料としての針葉樹と広葉樹の違いを、性質・見た目・用途の観点から詳しく解説してみたいと思います。
針葉樹とは
成長が早く、柔らかさと軽さが特徴
針葉樹とは、松や杉、檜(ヒノキ)など、葉が針状または鱗状の樹木の総称です。日本の森林の多くを占めており、建築材としても古くから使われてきました。
家具材としての主な特徴
1.木質が柔らかい
針葉樹は繊維が直線的で、全体的に柔らかい傾向があります。そのため加工がしやすく、手仕事との相性が良い素材です。一方で、広葉樹に比べると傷や凹みは付きやすいという側面もあります。
2.軽く、扱いやすい
比重が軽いため、家具自体も軽量になります。移動や模様替えがしやすく、日常使いの家具として扱いやすい点は大きなメリットです。
3.木目が素直で主張が控えめ
年輪がはっきりと現れ、すっきりとした木目が特徴です。空間に馴染みやすく、ナチュラルで優しい印象を与えます。
針葉樹が使われる家具の例
・ダイニングテーブルの内材
・チェストやキャビネットの背板・引き出し内部
・ベンチや軽量なテーブル
・子ども用家具
特に檜や杉は香りや調湿性に優れ、暮らしに心地よさをもたらします。表に出る天板や脚に使われることもありますが、強度が求められる部分では設計上の工夫が欠かせません。

広葉樹とは
密度が高く、重厚で耐久性に優れる
広葉樹は、ウォールナット、オーク、チェリー、メープル、タモなど、葉が平たく広い樹木を指します。成長が遅く、その分木質が緻密で硬いのが特徴です。
家具材としての主な特徴
1.硬く、耐久性が高い
繊維が複雑に絡み合い、圧縮強度や曲げ強度に優れています。椅子やテーブルなど、長期間荷重がかかる家具に適しています。
2.重量感と安定感
比重が高く、家具にするとしっかりとした重さが生まれます。この重みが安定感となり、使う人に安心感を与えます。
3.表情豊かな木目
虎斑(とらふ)や波状の木目など、樹種ごとに個性があり、一枚ごとに表情が異なる点も魅力です。経年変化による色の深まりも、広葉樹家具ならではの楽しみと言えるでしょう。
広葉樹が使われる家具の例
・ダイニングテーブル
・椅子・ソファのフレーム
・ベッドフレーム
・キャビネットや収納家具の外装
特に椅子は、強度・耐久性・粘り強さが求められるため、広葉樹が選ばれることがほとんどです。
4.資源を無駄にしない選択
節の多い材は、かつては「家具に向かない」とされ、構造材や下級用途に回されることもありました。しかし、節を個性として活かすことで、より多くの木材を有効活用できるようになります。これは、森林資源を循環させ、持続可能なものづくりにつながる考え方でもあります。環境意識の高い人にとって、節のある家具は価値観を反映した選択肢と言えるでしょう。
針葉樹と広葉樹の比較表(家具視点)
| 項目 | 針葉樹 | 広葉樹 |
| 硬さ | 柔らかい | 硬い |
| 重さ | 軽い | 重い |
| 加工性 | 高い | 難易度が高い |
| 傷の付きにくさ | 付きやすい | 付きにくい |
| 木目 | 素直・均一 | 表情豊か |
| 主な用途 | 内材・軽家具 | 構造材・主役家具 |
家具づくりでは「使い分け」が重要
良質な家具ほど、針葉樹と広葉樹を適材適所で使い分けています。
例えば、
・外から見える部分や荷重がかかる部分には広葉樹
・見えない内材や引き出し内部には針葉樹
この組み合わせにより、家具全体の強度・軽さ・コスト・使い心地のバランスが取られています。すべてを硬い木で作れば良い、というわけではない点が、家具づくりの奥深さでもあります。
素材の違いを知ると、家具はもっと面白くなる
針葉樹と広葉樹の違いを知ることは、単なる知識ではなく、家具を見る目を養うことにつながります。
「なぜこの椅子は重いのか?」
「なぜこの引き出しは軽く、滑らかに動くのか?」
「なぜ使うほどに味わいが増すのか?」
その答えの多くは、木の種類と性質にあります。
長く使い、世代を超えて受け継いでいく家具だからこそ、素材への理解は欠かせません。針葉樹と広葉樹、それぞれの特性を知った上で選ぶ一台は、きっと暮らしに深く寄り添う存在になってくれるのではないでしょうか。
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