SF22の肘無しタイプ。極限まで軽やかで、繊細なフォルム。それでいて堅牢で安定感のある座り心地。無垢の家具に対するイメージを良い意味で覆す椅子です。一般的な椅子が軽いものでも4~5kg程度であるのに対して、その重量はわずか2kg強。指1本で持ち上げられるほどの圧倒的な軽さながら、高い強度を実現できた理由は「ホゾ組み」にありました。
製作しているのは兵庫県南西部、岡山との県境に位置する小さな町の工房。職人の手による精緻なホゾ組みの技術を駆使した椅子づくりを、デザインから仕上げまで一貫して行っています。
「ホゾ組み」は木材同士をつなぐ継手のひとつで、一方の木材の端に凸状のホゾを、別の木材にホゾを挿し込む穴を加工してふたつを継ぎ合わせる伝統的な組木の技です。椅子の場合は背もたれの笠木と後脚をつなぐ部分、座枠と各脚をつなぐ部分など、大きな負荷がかかる場所に使われます。非常に手間のかかるやり方のため、大量生産の家具ではまず採用されることがありません。しかし、この目には見えない「ホゾ」の精度こそが、細く軽い椅子に強度をもたせるための重要なカギ。緩すぎず、きつすぎず、0.01mm単位の精緻な調整による「ホゾとホゾ穴の絶妙な関係性」が、一度組んだら外れることのない堅牢性を生み出します。それはコンピュータ制御の機械では成し得ない、職人の手と目だけが頼りの仕事です。
釘やねじなどの金具を一切使わず、木だけで組み上げられた一脚の椅子。職人の知恵と技が惜しみなく込められた贅沢な逸品が、家で過ごす時間を豊かに彩ります。