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2024.05.23

チェリー材と桜材の違いについて

家具の材料としてよく見かけるチェリー材。チェリーという名称のせいもあってか、桜材と混同されることも多いのですが、どちらも同じバラ科に属する樹種ではあるものの、オークと楢、ウォールナットとクルミ、アッシュとタモなどがそれぞれ違う樹種であるように、チェリーと桜にも違いがあります。では両者にはどのような違いがあるのでしょうか?ここでは木目や色、経年変化や耐久性など、家具の素材として使用するにあたり、気になるポイントに絞って違いを紹介してみたいと思います。

産地について

そもそも家具の材料に使用されるチェリー材というのは、主に北米産のアメリカンブラックチェリーを指す場合が多く、アメリカ合衆国のペンシルバニア州やニューヨーク州、ウェストバージニア州を主な産地とします。一方で桜材というのは主に日本のヤマザクラを指します。ちなみに日本で桜の木といえば、お花見する際のソメイヨシノが思い浮かびますが、あちらは観賞用に品種改良された樹種であり、家具の材料になることはありません。

木目について

チェリー材は比較的直線的で細かく均一な木目が特徴。木肌には光沢があり、シンプルで上品な印象を放ちます。また時折、さざなみ紋(リップルマーク)と呼ばれる波状の美しい模様やガムポケットと呼ばれる斑点模様が現れることもあり、これらのキャラクターマークが天然木ならではの個性を際立たせます。一方、桜材の木目はチェリー材に比べ変化に富んでおり、色の濃淡や模様の変化が豊かです。丸太の中の赤身と呼ばれる芯材の部分と白太と呼ばれる辺材の部分の色の違いによるもので、これが一つ一つの家具に個性を与え、見る者を魅了します。

色について

チェリー材の色は当初淡いピンク色〜黄褐色ですが、時間と共に深い赤褐色に変化し、独特の風格と温かみを増していきます。一方で桜材は薄いピンク色から〜赤みがかった色まで幅広いのが特徴。赤身と白太のグラデーションが美しく、単色にはない色の豊かさを楽しむことができます。

耐久性と強度について

チェリー材と桜材は、いずれも適度な硬さと耐久性を持ち合わせており、長期間にわたって使用できるという点で共通しています。チェリー材は硬さがあり、耐摩耗性に優れていますが、硬すぎることはなく、適度な弾力性も持っています。桜材もまた、強度があり、耐久性に優れた木材で、長期間使用してもその美しさと機能性を保つことができます。それに加え、どちらも加工性に優れていることから家具や建材として使用されることが多いというわけです。

経年変化について

チェリー材の経年変化は非常に顕著で、時間と共に深く、豊かな色合いに変化します。当初は明るいピンク色〜黄褐色だったものが次第に深みを帯びていき、色はより濃く、赤褐色〜濃い赤色へと変わります。木材表面の色合いが均一になるため、全体的な見た目は落ち着いた雰囲気に。そしてさらに数年経過すると深いマホガニー色や赤黒い色調へと変化していきます。この段階で、チェリー材の美しさは最大限に引き出されるとも言われるほどです。桜材もチェリー材同様、時間とともに色合いが変化しますが、その変化はチェリー材ほど劇的ではありません。変化のスピードもゆっくりしていて、色合いは少しずつ深みを帯び、やや赤みが増していきます。

このように植物学上は同じ分類に属し、見た目の美しさ、加工性の高さ、耐久性など共通点も多いチェリー材と桜材ですが、細かく見るとそれぞれの特徴は微妙に違ったものがあります。もちろん、両者を組み合わせて使うのも素敵ですが、それぞれの特性を理解しつつ、樹種選びの判断材料にしていただければと思います。

※ブラックチェリー材の特徴についてはこちら

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※ブラックチェリー材を使った家具の納品事例はこちら

※桜材を使った家具の納品事例はこちら

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